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「竹はバイオマス発電に不向き」を覆す、日立が燃料化技術を開発

   

竹はカリウムを多量に含んでおり、灰の軟化温度が680~900度と低く、大型のボイラーで燃焼させると炉内に「クリンカ」という溶岩を生成する特性がある。さらに塩素濃度も高いため耐火物や伝熱管を腐食させやすい。そのため、一般にはバイオマス発電などの燃料としては不向きとされている。

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 竹は国内に豊富に存在するバイオマス資源であり、成長力が非常に強い。根が森林へ拡大するとそこに生育する樹木の成長を阻害してしまうため、放置竹林の拡大防止や、資源としての有効活用策の確立も課題となっている。燃料に適さないという課題を解決し、竹をバイオマス発電に活用できるようになれば、林業と発電事業者の双方にメリットが生まれる状況だ。

 日立製作所(以下、日立)はこうしたニーズに応える技術の開発に成功した。竹類から「燃料に不向き」の原因であるカリウムと塩素を溶出させ、一般的な木質バイオマス燃料と同等の品質に改質できるという技術だ。林野庁の補助事業である「木質バイオマス加工・利用システム開発事業」として、福岡県八女市と北九州市の協力のもと、2年間にわたって開発を進めた成果だという。

 日立は研究開発の中で、竹などの成長が早い植物の断面は多孔質繊維で構成されており、微粒化により内部開放を行えば、水溶性の無機物質であるカリウムが容易に溶出できるという知見を得た。この知見に基づき、竹を専用の粉砕機で粒径6mm(ミリメートル)以下まで微粒化し、水に浸すことでカリウムと塩素を溶出させ、脱水することでカリウム濃度と塩素濃度を低下させることに成功した。2kg(キログラム)の竹から、約1.1kgの燃料粉末を取り出すことができたという。

 脱水後の粉末で作ったペレットを燃焼させたところ、灰の軟化温度は1100度以上に向上した。塩素濃度も人体に影響のないダイオキシン類レベルとされる木質バイオマスペレット燃料の規格レベルまで抑えることができた。さらにこの手法を、孟宗竹、真竹、淡竹、笹や雑草類、未利用の杉の皮にも適用したところ、同様の効果が得られることが分かったという。

抽出物は肥料として有効活用

 日立は竹の粉末からの抽出物についても活用方法を検討した。日本肥糧検定協会に委託して有害物質の有無を調べたところ、カリウムだけでなく、窒素とリン酸も微量ながら有していることを確認しました。なお、50項目の有害物質分析で有害物質は検出されなかったという。

 この結果を受け、抽出物を高濃度にしたものが植物育成剤として利用が可能であるかを、小松菜の栽培で検証した。その結果、無添加の小松菜に比べて丈が1~2cm(センチメートル)程度高く成長。さらに無添加の小松菜の重量を100とした場合、抽出物を添加した場合は124~144の生態重量を得られた他、収穫時には、無添加の小松菜に比べ変色が少ないことも確認できたとしている。

林業への知見も

 日立はこの技術開発の中で、竹の伐採などに関する知見も得られたとしている。1つが破砕機の刃の寿命延長に関するものだ。竹は表面にあるケイ素成分によって、機械の刃を短時間で磨耗させると考えられてきた。しかし日立は竹のケイ素濃度は高くないことから別の要因があると推測し、調査を行った。その結果、弾性を持つ竹の外面で刃が横滑りをすることで刃先が欠損していたことや、竹に付着した泥や小石、砂類によって摩擦が発生していることが分かった。

 そこで、破砕機で竹を破砕する際は、事前に竹表面と端部の泥などを取り除くとともに、竹を割って竹の内側面より刃があたるように前処理をすることで破砕機の刃の摩擦延命化が可能である知見を得られたとしている。

 もう1つの得られた知見が、伐採の効率化に関するものだ。一般的な竹収集では竹を定尺に玉切りし、枝払いして収集する。大半の作業が人手によるもので、これが原料コストを引き上げにつながっていた。そこで日立は重機を活用して竹の伐採し、伐採直後に竹専用細断機で細断し、気流搬送によりバキュームカーで収集するという手法を確立。これにより従来の伐採収集に比べ輸送効率が3~4倍に向上することから、3分の1〜5分の1程度のコスト低減が可能であると推定しているという。

 なお、今回開発した燃料改質技術の今後の展開については「現時点では技術開発が完了した段階で、事業化や展開方法などについては未定。今後検討していきたい」(日立)としている。

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