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太陽光発電の買取価格は事業用を21円に、風力発電は3年後に19円へ

   

日本の再生可能エネルギーの導入量を左右する固定価格買取制度が2017年度から大幅に変わるため、それに伴って買取価格の決定方法も見直した。事業用の太陽光発電に入札制度を導入する一方、そのほかの再生可能エネルギーの買取価格は3年分をまとめて設定する。政府の委員会が2017年度に認定を受ける発電設備の買取価格案を12月14日にとりまとめた。

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 これまでの導入量が圧倒的に多い出力10kW(キロワット)以上の事業用の太陽光発電に対しては、現行の買取価格24円(税抜き)から3円安い21円まで引き下げる。さらに出力が2000kW以上の発電設備は入札を実施して価格を決定する。入札の上限価格は21円で、2017年の秋に実施する第1回の入札では50万kW分を対象にする。応札価格の低い順に買取価格が決まっていくため、20円を切る可能性もある。

 住宅用の太陽光発電(出力10kW未満)も同様に、現行の買取価格から3円安くなる。出力制御対応の機器を必要としない東京・中部・関西の3地域では31円から28円へ、機器の設置義務がある残り7地域では33円から30円へ引き下げる。加えて2018年度と2019年度の買取価格も設定した。年度ごとに2円ずつ下がって、2019年度には家庭用の電気料金の水準である24円まで低下する。

 一方で燃料電池のエネファームなど別の発電設備を併用する「ダブル発電」の買取価格は据え置いた。すでに買取価格が25円で電気料金の水準に近づいているため、2019年度の時点で単独の太陽光発電の買取価格24円と合わせる。買取価格が電気料金の水準まで下がると、売電と自家消費のメリットが同じになる。エネファームを含めて家庭ではエネルギーの自給自足が進んでいく。

買取価格を引き下げて国民負担を軽減

 毎年度の買取価格は発電設備の導入費や運転維持費の最新データをもとに、発電事業者が一定の利益を上げられるように算定している。事業用の太陽光発電の買取価格が2017年度に3円安くなる根拠は、発電システムの導入費と運転維持費が下がったことに加えて設備利用率(出力あたりの年間発電量)が上昇したことにある。

 発電システムの費用は2016年度の買取価格を算定した時点では25.1万円/kWだったが、直近の実績データでは24.4万円/kWまで低下した。出力が1000kW以上の太陽光発電システムのうち、低いほうから上位25%に入る「トップランナー」の実績値を採用している。

 政府は固定価格買取制度の改正に伴う買取価格の算定にあたって、再生可能エネルギーの最大導入と国民負担の軽減の両立を目指した。買い取った電力の費用の一部は電気料金に上乗せして回収するため、可能な限り買取価格を抑えながら導入量を拡大することが求められている。太陽光発電の買取価格の算定にトップランナー方式を採用したのは、住宅用を含めて発電事業者にコストの低減を促すためである。

 新たに住宅用の太陽光発電の価格算定にもトップランナー方式を導入した。直近の実績データによると、上位25%に入る発電システムの費用は30.8万円/kWだった。現行の買取価格を算定した時点の35.3万円/kWと比較して1割以上も安くなっている。

 ただし住宅用の場合にはコストダウンの動きが広まるまでに一定の期間を必要とすることから、3年後の2019年度までに30.8万円/kWへ段階的に低下していくことを想定した。加えて運転維持費の低減も織り込んだ。この結果、買取価格は2019年度に24円まで下がる。

 政府は2017年度以降の買取価格を算定するための参考値として、将来の価格目標を設定した。太陽光発電では事業用(非住宅用)の発電コストを2020年に14円へ、住宅用の売電価格を2019年に24円まで低減する目標だ。2019年度の住宅用の買取価格は目標に合致する。

中小水力発電は規模によって3円の増減

 風力・中小水力・地熱・バイオマス発電の買取価格は2017~2019年度の3年分を一括で決定した。風力発電では出力20kW以上の陸上風力の買取価格を毎年度1円ずつ引き下げていく。長期の価格目標として2030年までに発電コストを8~9円まで低減させる。その途上で2019年度の買取価格は19円まで下がる。

 風力発電に対しては既設の設備をリプレース(更新)した場合の買取価格も新たに設定した。送配電ネットワークに接続するための工事費が不要になることから、その分を差し引いて新規の設備よりも買取価格は3円安くなる。リプレースによって発電量が増加した場合でも一律の買取価格を適用する。

 買取価格の算定根拠になる指標を見ると、風力発電では設備の導入に必要な資本費は横ばいの状態で、運転維持費は1.5~2倍に上昇している。ただし設備利用率が想定の20%から実績では24.8%に向上して、年間の発電量が2割以上も増える見込みだ。これらの要件を総合して買取価格の引き下げが妥当と判断した。出力が20kW未満の風力発電と20kW以上の洋上風力は現行の買取価格を据え置く。

 中小水力発電は全国各地で開発プロジェクトが増加している。出力1000kW未満の買取価格を2019年度まで据え置いて導入を加速させる。一方で出力の大きい1000kW以上3万kW未満は2段階に分けて買取価格を変更する。出力が5000kWを境にして資本費に大きな開きが生じているためだ。

 出力1000kW以上5000kW未満の発電設備は現行の買取価格に3円プラスして27円に引き上げ、5000kW以上を3円マイナスの20円に引き下げる。それぞれ資本費が従来の想定から変動していることが理由だ。全国には出力が1000kWを少し上回る程度の導入候補地が数多くあり、買取価格の上昇によって開発プロジェクトの拡大が期待できる。

大規模な木質バイオマスは3円下げる

 バイオマス発電にも新しい区分を追加する。一般木材を燃料に利用する発電設備が対象で、出力2万kW以上の場合に3円減の21円に引き下げる。一般木材には製材で生じる端材のほかに、海外から輸入する木材やパームヤシ殻などが含まれる。

 すでに固定価格買取制度の認定を受けたバイオマス発電設備の中で、一般木材を対象にした認定量が群を抜いて多い。特に出力が2万kW以上の大規模な発電設備の大半は一般木材を燃料に利用するケースだ。バイオマス発電では出力の大きさによってボイラーのタイプが異なり、大規模な発電設備で使うボイラーほど高効率になる傾向が見られる。

 政府が集約した実績データによると、出力が2万kW以上のバイオマス発電設備の効率は想定の26%よりも高くて32%に達している。効率が高くなる分だけ発電量が多くなることから買取価格を引き下げた。このほかのバイオマス発電の買取価格は2019年度まで3年分を据え置く。

 地熱発電の買取価格も2019年度まで据え置くことが決まった。そのうえで風力発電と同様に、設備をリプレースした場合の買取価格を新たに加えた。地熱発電のリプレースの方法には2種類が考えられる。1つは発電設備の全体を更新するケースで、もう1つは地下の設備を流用しながら地上の設備だけを更新する方法だ。

 出力が1万5000kWを境に買取価格は分かれる。それぞれ発電設備を全面的にリプレースする場合には75%程度に、部分的にリプレースすると50%程度の買取価格になる。いずれも資本費が安く済むほかに、開発リスクが新規の場合と比べて小さくなるため、発電事業者の収益率を低く設定した。

 太陽光から風力・中小水力・地熱・バイオマス発電まで、政府の委員会がとりまとめた案に対して10日間程度の期間でパブリックコメントを求めた後に、経済産業大臣が承認して新しい買取価格が確定する。早ければ2016年内に、遅くとも2017年1月中には正式に決まる見通しだ。

 新しい買取価格は2017年度に認定を受ける発電設備から適用することになる。ただし買取価格を引き下げる対象のうち、風力・中小水力・バイオマス発電については半年間の経過措置を設けて、2017年9月末までは現行の買取価格を適用する。

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