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飛騨高山の温泉で木質バイオガス発電、地元産のペレットを燃料に熱も供給

   

木質バイオマス発電を実施する場所は高山市内にある温泉施設「しぶきの湯 遊湯館」である。ドイツ製の木質バイオマス発電設備を導入して2017年3月に運転を開始する予定だ。

 発電能力は165kW(キロワット)になり、年間に126万kWh(キロワット時)の電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して330世帯分に相当する。このうち120万kWhを固定価格買取制度で売電する計画だ。

 さらに発電に伴う排熱で温水を作り、館内の温浴施設に供給する。排熱を有効に利用することによって、温水を作るボイラーで使用する灯油を年間に124キロリットル削減できる見通しだ。

 バイオマス発電用の燃料には地域の間伐材を加工して作った木質ペレットを利用する。高山市は森林の面積が日本で一番広い市で、市内の92%を森林が占めている。特に「飛騨杉」が有名だが、森林を健全な状態で維持するためには木を間引く間伐が欠かせない。

 高山市では間伐した木材の活用を促進するために、木質ペレットを燃料に使えるストーブの普及を進めてきた。新たに大量の木質ペレットを消費できるバイオマス発電が始まれば、化石燃料から再生可能エネルギーへ転換する取り組みが加速する。

電力と熱でエネルギー効率75%に

 高山市の木質バイオマス発電事業は市内の企業や個人が2015年10月に設立した「飛騨高山グリーンヒート」が中心になって運営する。発電設備の設計・施工は全国各地で再生可能エネルギー事業を展開する洸陽電機が担当する一方、燃料の木質ペレットは高山市を中心に地元産の「飛騨高山ペレット」を販売する木質燃料が供給する体制だ。

 総事業費は1億3000万円で、そのうち2200万円を岐阜県の「木質バイオマス利用施設導入促進事業」の補助金でまかなう。地元の金融機関から融資を受けることも決まっている。固定価格買取制度では間伐材などの未利用木材を使って発電した電力の買取価格は40円(発電能力2000kW未満の場合)になる。年間に120万kWhを売電すると4800万円の収入を得られる見込みだ。

 木質バイオマス発電設備にはドイツのブルクハルト社が開発・販売する熱電併給(コージェネレーション)システムを採用した。この熱電併給システムは木質ペレットを燃焼させてガスを生成するガス化ユニットと、生成したガスを使って発電する熱電併給ユニットで構成する。

 ガス化ユニットでは生成したガスを冷却する時に排熱が発生し、熱電併給ユニットでは発電で生じる排熱を外部に供給できる。燃料のエネルギーを電気エネルギーに転換できる割合は30%で、さらに熱として利用できるエネルギーの割合が45%になる。合わせてエネルギー効率は75%に達する。地域の間伐材を利用したエネルギー地産地消のメリットを最大限に発揮できる仕組みである。

 小型のシステムで大きな設置スペースを必要としない点も特徴だ。ガス化ユニットは長さ5.3×幅2.5×高さ4.5メートルで、熱電併給ユニットは長さ3.8×幅1.7×高さ2.6メートルである。重さは2つのユニットを合わせて10.6トンになる。

 ヨーロッパでは木質バイオマスをガス化して電力と熱を供給する小型の木質バイオマス発電システムが広く普及している。日本国内でも最近になって長野県や秋田県などで導入事例が増えてきた。熱を有効に利用できる公共施設や商業施設のほか、ビニールハウスで農作物を栽培する農園にも向いている。

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