バイオマスエネルギーニュース

バイオマスエネルギーに関するニュースサイト

バイオマス発電の燃料は海外から、ヤシ殻で電力を作る

   

木質バイオマス発電所を建設する場所は、福岡県の豊前市(ぶぜんし)にある港に隣接している。九州電力の電柱を製造するグループ会社が所有する土地で、すぐ近くには石油火力発電所もある。港に面した立地を生かして、海外から輸入するパームヤシ殻(PKS:Palm Kernel Shell)を燃料に使って発電する計画だ。

【その他の画像】

 発電能力は75MW(メガワット)で、国内の木質バイオマス発電所では最大の規模だ。年間の発電量は5000万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して14万世帯分に相当する。豊前市の総世帯数(1万2000世帯)の10倍以上になり、福岡県の全体(230万世帯)の6%にあたる電力を供給できる。

 小売電気事業者のイーレックスと九州電力グループの九電みらいエナジーが共同で発電所を運営する。両社と九電工の3社が出資する「豊前ニューエナジー」が事業主になり、発電した電力を固定価格買取制度で売電する方針だ。PKSなどの一般木質バイオマスで発電した電力の買取価格は24円(税抜き)で、年間の売電収入は12億円を見込める。

 2017年3月に着工して、2019年10月に運転を開始する予定だ。九電工が電気設備工事を担当して、イーレックスが燃料を調達する。PKSと木質ペレットも加えて年間に30万トンの燃料を発電に利用する計画である。

 木質バイオマスの燃料になるPKSは、インドネシアやマレーシアなどで栽培するヤシの種の殻(から)の部分を乾燥させて砕いたものだ。ヤシの実からパームオイルを抽出した後に出る廃棄物の一種で、燃料に使えば実質的にCO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーの電力を作ることができる。日本と東南アジアを結んだ地球温暖化対策になる。

電力の小売事業をバイオマスで拡大

 イーレックスは再生可能エネルギーによる電力の小売事業を拡大するために、発電量が安定しているバイオマス発電所の開発を急ピッチで進めている。すでに2013年から高知県の高知市で木質バイオマス発電所を運転しているほか、大分県の佐伯市で2016年11月中に木質バイオマス発電所の運転を開始する予定だ。2カ所の発電能力は30MWと50MWで、いずれも港に近い立地を生かしてPKSを燃料に使う。

 新たに豊前市で始まったプロジェクトに加えて、岩手県の大船渡市でも同規模の75MWの木質バイオマス発電所を建設することが決まっている。太平洋セメントと共同で、港に隣接するセメント工場の構内に建設する。PKSを燃料に使って、運転開始もほぼ同時期の2019年秋を予定している。

 さらに2件の新規プロジェクトを計画中で、4年後の2020年にはバイオマス発電の規模が350MWを超える見通しだ。電力会社の発送電分離が始まる2020年4月に向けて、バイオマス発電による電力を含めて小売事業の規模を1000億円に拡大する中期経営計画を推進していく。

 一方で豊前市のプロジェクトに共同で参画する九電みらいエナジーも九州地域で再生可能エネルギーの発電設備を拡大中だ。これまでに10カ所のメガソーラーと1カ所の地熱発電所を稼働させたほか、子会社が風力発電所とバイオマス発電所を1カ所ずつ運営している。合計13カ所の発電能力は112MWに達する。新たに佐賀県の唐津市で28MWの風力発電所を建設する計画も進めている。

 九電みらいエナジーは2016年4月から東京電力の管内で小売事業を始めたが、九州では小売事業に参入しないで再生可能エネルギーの発電事業に注力する。豊前市の木質バイオマス発電所の電力はイーレックスのほかに九州電力にも供給する見込みだ。

 - , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,